・落下棒テストの意味。
・敏捷性と転倒リスクの関係性。
・敏捷性テストのカットオフ値はある?
こんにちは、底辺PTです。
先輩療法士から「落下棒のカットオフ値を調べて」とお達しを受けました。
職場では月1回、利用者全員の体力測定を行います。
その中の1つが落下棒テスト。
落下棒なんて学校でも習ったことないし、今の職場で存在を知ったくらいの評価。
今回は落下棒を通じて、敏捷性について勉強することになったので紹介します。
ちなみに落下棒のカットオフ値は分かりませんでした。
・地域在住高齢者の転倒には敏捷能力が関与する
・敏捷性と歩行能力の関係-若年者と中高年者を比較して-
・下肢反復開閉運動と既存の敏捷性指標との基準関連妥当性
・転倒回数の違いが座位両足開閉ステッピングにおよぼす影響
何のための落下棒テスト?
落下棒テストとは目盛りが書いてある棒を落として、どれだけ速く棒をつかめるかというテストです。
落下棒テストをしたことがなかったので、「調べて」と言われて思ったことがあります。
カットオフ値って言われても、何のためにするの?
定番の評価であるTUGはカットオフ値があり、転倒リスクに関係します。
でも、棒を素早くつかまめたからって日常生活に何の関係があるのか?
仕事関係はググらずに論文などを参考にしているのですが、スタートからつまづいたので「落下棒 意味」で検索すると敏捷性の測定とありました。
落下棒テストは敏捷性を測るテストなんですね。
底辺PTなので先輩から怒られないように、敏捷性と日常生活の関係を調べた上で、カットオフ値なんてありませんと報告できるようにしなければ。
敏捷性と転倒
リハビリをしていて最も意識するのが転倒。
敏捷性は転倒と関係があります。
敏捷性は転倒を予防するための身のこなしとなるのです。
歩行中などでバランスを崩した時に一歩足を出すことができる、これが敏捷性となります。
なので敏捷性を評価することは、日常生活において意味があるのです。
よかった…。
敏捷性と歩行
敏捷性は転倒のほかに、歩行とも関係があります。
敏捷性を測るものにステップ数があります。
ある時間内にどれだけステップを踏めるかというもの。
ステップの回数が多い、すなわちステップが速いと歩行速度も速いということが分かります。
面白いことに、ステップと歩行速度は若年者には関係がなく、中高年者には関係があると認められています。
中高年者では下肢の敏捷性から歩行能力の推定が可能と考えられます。
上肢と下肢の敏捷性
ここで新たな疑問。
敏捷性と転倒には関係があるのは分かりましたが、落下棒を早くつかむと転倒リスクが低い!と言われてもピンとこない人もいるでしょう。
私もです。
しかし、中高年者において上肢と下肢の敏捷性は相関があると認められています。
若年者は上肢と下肢の敏捷性は独立しており相関はありませんが、中高年者は独立しておらず敏捷性を測定する時は、上肢か下肢いずれの測定で良いと考えられています。
敏捷性のカットオフ値
敏捷性を調べていると、落下棒テストも意味があることが分かりました。
しかし、先輩からのお達しはカットオフ値。
そこで落下棒以外の敏捷性テストを調べました。
下肢反復開閉運動
下肢反復開閉運動とはイスに座り、簡易測定ボード(300mm×300mm×30mm)の中央に両足をそろえます。
スタートの合図で簡易測定ボードの外に足を開き、すぐに中央に足を戻す運動を10秒間で何回開閉運動ができるかの評価です。
足でジャンケンのグー・パーをする感じですね。
これにより敏捷性を測定できます。
下肢反復開閉運動のカットオフ値は10秒間で14回。
13回以下では転倒が起きる可能性が高くなります。
まとめ
今回は敏捷性に関する評価を勉強しました。
・落下棒テストにカットオフ値はない。
・落下棒テストは敏捷性の評価であり、転倒に関係する。
・下肢反復開閉運動のカットオフ値は10秒間で14回。
・13回以下は転倒のリスクが高まる。
落下棒テストは敏捷性を測定する評価であり、中高年者では上肢と下肢の敏捷性は相関します。
様々な理由でTUGが測定できない人もいるかと思います。
そんな時にはイスに座ってできる、下肢反復開閉運動がやりやすいかなと。
測定ボードを作る必要はありますが…
ここで先輩に報告!
・落下棒自体のカットオフ値はない。
・敏捷性は転倒と関係する。
・落下棒テストのカットオフ値を調べるには、今まで測定した記録と転倒者等から独自に出さなければいけない。
・下肢反復開閉運動ならカットオフ値がある。
以上を報告すると「なら、落下棒の測定やめる」
「…」
体力測定の項目が減る結果となり無事、仕事を終えることが出来ました。