【痙縮・固縮】知っているようで説明が難しい痙縮と固縮の違いを底辺理学療法士が説明します!

底辺理学療法士のトリぞーです。

痙縮と固縮って知っているようでうまく説明ができない!って人、多いと思います。

私もそうです。

今回はその痙縮と固縮について勉強したので、是非参考にしてみてください。

筋緊張

 

筋緊張の異常には低下亢進があります。

その中で筋緊張亢進とは筋肉が硬くなった状態であり、臨床的には筋トーヌス(筋緊張)の亢進と言います

その筋トーヌス亢進の典型的な状態に痙縮固縮がまあります。

 

痙縮

痙縮は上位運動ニューロン症候群の運動麻痺であり、腱反射を伴った伸張速度に依存して緊張性伸張反射が増大するものと定義されています。

また、新たな定義として過緊張と伴い、次の要素を1つまたは両方の現象が存在するとしています

 

✳︎外的・他動的な伸張のスピードの増加に従い抵抗感が増し(速度依存性)、関節運動の方向により抵抗感がある。
✳︎外的に加えた伸張スピードまたは関節の角度が閾値を越えた時に出現する抵抗感がある。

しかし、痙縮の過緊張と伸張反射の亢進の慣例性には諸説あります。

 

 

原因

神経生理学的な痙縮の原因として1970年代、上位中枢からのγ運動ニューロンの抑制が解除され、γ運動ニューロン作動が亢進することにより筋紡錘発火が増加し、伸張反射が亢進するという説が有力でした。

現在では痙縮患者は安静時においてシナプス前抑制とⅠb抑制および1a相反抑制が減少し、伸張反射が亢進している説が有力です

また、慢性期の過緊張は伸張反射の亢進ではなく、筋の粘弾性の変化(アクチンフィラメントとミオシンフィラメントの結合機構の障害が生じ円滑な収縮ができなくなっている)が原因と言われています。

痙縮筋はⅡ型線維(白筋線維、速筋)の筋萎縮が選択的に認められています。

 

 

痙縮の出現

まず、中枢の病変により腱反射の消失を伴う弛緩性麻痺が出現します

反射の消失はα運動ニューロンとγ運動ニューロンの興奮性の減弱です。

その後、1〜2週間後に腱反射と筋緊張が出現し4〜6週間後に腱反射の亢進と過緊張が出現します
痙縮の出現とともに、伸張反射の閾値の低下により、α運動ニューロンの興奮性の増大が推測されています。

 

 

固縮

固縮の定義は全関節可動域に他動的な一定の抵抗感があり、鉛菅様と表現されます。

また、よく聞く歯車様固縮とは抵抗感とともに振戦が加わった場合に生じます。

さらに、パーキンソン病の四肢の静止振戦、無動、運動緩慢、とともに4大徴候の1つとされています。

固縮も上位ニューロン障害で過緊張が特徴ですが、パーキンソン病初期特徴として伸張反射の閾値は健常者と比較して低いです。

パーキンソン病患者では脊髄前角細胞の興奮性が亢進し閾値が低下していることが推察されています。よって、パーキンソン病の固縮は、基底核の機能障害だけではなく、脊髄レベルの障害による伸張反射の亢進が重複しているという見解が有力とされています。

 

 

原因

黒質ニューロンの進行的損傷とフリーラジカル(酸化的ストレス)による破壊が関与されていると言われています。

また、その他にもフリーラジカルの増加やミトコンドリアの呼吸障害による細胞内ATPの減少、グルタミン酸やサイトカイニン類による免疫機構の関与も考えられています。

 

 

主動筋の収縮と弛緩時の特徴

パーキンソン病は基底核の障害により、運動単位の動員の障害と動員時間の延長、発火頻度の減弱が報告されています

筋の収縮力の開始から弛緩まででは、筋活動電位の出現までの時間の遅れと力の発生率に障害があります。
パーキンソン病は静止性筋収縮力の調節が困難であり、運動緩慢の原因の一つと考えられています。

その為、小さな力で把持したり最大筋力を発揮する能力はありますが、一定の力を保持することが困難となります

また、いろんな大きさの力を出そうとしても、その力を出すまでにも時間がかかります。
パーキンソン病患者は健常者と比較し筋力の低下が認められ、収縮後のリラクセーションの時間延長と運動機能にも相関を認められています。

 

 

固縮と筋力低下

パーキンソン患者は屈筋群より伸筋群の筋力が低下しています。屈筋群は健常者と比較して有意な低下はみられません。

具体的には股関節・膝関節の伸筋群が低下し、椅子からの立ち上がりの困難性と関係があります。
しかし、この筋力低下ですが求心性の筋収縮での低下であり、遠心性の筋収縮の低下は男性のみ

女性の遠心性収縮の低下は認められていません

また、Yahr分類のⅠ度では筋力低下はみられませんが、Ⅱ度・Ⅲ度では運動麻痺側の筋力低下がみられ、速い運動の障害がみられます。

 

固縮と協調性

パーキンソン患者は上肢の反復的な巧緻運動障害とシャツのボタンをはめるなどの上肢巧緻運動障害が認められます。

これは固縮患者の2つの分離した動きの統合能力障害を示唆しており、肘関節の屈伸などの単一関節の運動は健常者と比較し変化はないのですが、屈曲・回外などの2関節の運動能力は低下します
また、パーキンソン患者はフィードフォワードのミスも認められます。

 

 

固縮と歩行

固縮では一般的に不活発で、歩行時にすくみ現象(フリージング現象)にみられるように随意運動の開始が困難なことが多く、発症して5年経過すると約50%のパーキンソン患者に症状が認められます。

すくみ現象は方向転換や注意が必要な際にみられ、歩行開始時のすくみ現象は床反力弱く、前脛骨筋と下腿三頭筋の筋活動の減弱が認められます

 

 

固縮と痙縮の違い

 

痙縮と比べ固縮では臨床的に以下の点が挙げられます

①他動的関節運動をゆっくり行った時に出現し、速度依存性ではない。また、関節角度に関係なく出現し、持続的な抵抗感が特徴。

②動筋と拮抗筋の同時収縮が生じやすく、反復的な反対の方向の動きに抵抗感がある。

③四肢は一定の特徴的な肢位や間接角度を示さない。

④随意運動時、連合反応は出現しないが過緊張は増強する

 

痙縮・固縮の評価

 

他動的伸張による筋トーヌスの評価

正確な評価は期待できませんが、筋トーヌスの評価としてAshworth ScaleMASがあります。

どちらも背臥位でリラックスさせて、筋を他動的に動かした時の抵抗感を評価します。

 

Ashworth Scale

1:軽度の筋緊張の亢進がある。患肢の四肢の屈曲伸展他動運動をすると、引っかかり(catch)がある。

2:筋緊張の亢進があるが、患肢の屈曲が容易に可能である。

3:筋緊張の亢進が著明で、他動運動が困難。

4:患肢の屈曲あるいは伸展の際に、こわばり(rigid)がある。

 

MAS(Modified Ashworth Scale)

0:筋緊張の亢進はない。

1:軽度の筋緊張の亢進がある。患部の屈曲または伸展運動をすると、関節最終可動域に引っかかりとゆるみ(折りたたみナイフ現象)、または最小の抵抗がある。

1+:軽度の筋緊張の亢進がある。患部の屈曲または伸展運動をすると、関節可動域の後半半分以下に引っかかりがあり、その後最小の抵抗がある。

2:関節可動域の大部分で明らかな抵抗があるが、患側の屈曲が容易に可能である。

3:過緊張の亢進が著明で他動運動が困難。

4:患肢の屈曲あるいは伸展の際にこわばりがある。

 

運動療法

 

痙縮の運動療法

萎縮の著しい速筋線維収縮の強化が必要です

正常な筋より刺激量を少なくすると正常な反応が誘発できます。

伸張反射は主動筋収縮時に亢進していないので、随意運動時に伸張反射を誘発し、主動筋の運動単位の動員を増加するアプローチが有効です。

痙縮筋に筋力強化訓練を行うことにより、巧緻動作や機能的な可動性、身体的活動の改善を得ることができます。

 

固縮の運動療法

運動療法には二つの課題を同時に行うトレーニングを実施します。

また固縮は屈筋群より伸筋群の筋力が低下しているので、伸筋群の強化が必要となります

その中でも静止性収縮力がパーキンソン患者には認められ、静止性収縮力の強化が必要です。さらにパーキンソン患者は運動情報や固有受容器のフィードフォワードのミスが認められるため、固有受容器の刺激と再学習、協調性の改善が必要です。

 

 

おわりに

痙縮・固縮は過緊張が重要な特徴とされていますが、痙縮の過緊張と伸張反射の亢進の関連性には諸説あります。

最近の文献では筋の粘弾性の変化が原因とする説が有力と言われています。固縮では長潜時反射は亢進しないと言われていましたが、近年では長潜時反射は亢進していると言われているなど、まだまだ様々な考えがあるようです。

また、痙縮・固縮に対する理学療法アプローチは脳の可塑性を信じ、反復して刺激することで発芽現象を促通し、新しい有効なニューロン結合により機能回復を図るものです。